二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
「ど、どどどどどうしてこんなものが!?」

 香澄が呆然としていると

「もう少し覗いてみて」

 と涼から言われた。
 花を傷つけないようにと、そっと指先で優しくかき分けると、出てきたのはアニメやゲームなどで、香澄が全力で推してるキャラたち。
 その中には、涼によってグッズの箱をボコボコにされたキャラもいた。

「涼先生、これって……」

 興奮と驚きと戸惑いと、様々な感情に支配された香澄は、脳の思考が止まってしまった。
 涼は苦笑しながら

「僕個人としては、僕だけを見てほしいって思ってるんだけど、でも……言われたんだ。香澄を本当に愛しているなら、香澄が愛しているもの全てを肯定するのが大事なんじゃないかって」

 誰にという、決まりきった質問を香澄はしなかった。
 その代わり、涼の言葉をじっと待ち続けた。
 涼は、花束を抱えている香澄の手の上に、そっと自分の手を重ねる。

「君が、僕以外のものを見て目を輝かせている時、嫉妬しかなかったよ。君の可愛い顔は全部僕が独り占めしたいのにって何度も思った。だから……グッズも隠してボロボロにした」
「それは、私も言いすぎたって……思って……」
「いや、あれは全部僕が悪い。君がずっと楽しみにしていたことを、僕の醜い嫉妬で台無しにしたんだ。責められても、仕方がないよ。でも」

 涼は、香澄の手をぎゅっと握りながら、さらに言葉を続けた。

「それでも、僕はずっと君の一番になりたい。その気持ちはずっと変わらない。だから……決めたんだよ。こいつら……じゃなかった、これ……じゃなかった……彼らもひっくるめて、香澄の全てを愛したいって」
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