二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
 花束を渡した時、実は涼は半信半疑な部分もあった。
 実際に買った花のほとんどは拓人の家に置き去りにしてある。

「何日分のフラワーバスになるかしら」

 などと言いながら、高級家具屋で買ったというダイニングテーブルに山盛りに花を盛った。
 香澄の手元に持ってきたのは、拓人と勇気が

「これなら常識の範囲内」

 と太鼓判を押したレベルの……でも漫画や小説でよく見かける大きな花束だったのだ。
 ただ、そこに加わったのが勇気のファインプレイ。
 勇気は、香澄や拓人と関わることで加わった俊敏というスキルを発揮し、家から大量のアクスタをかき集めてきたのだ。
 全てのキャラが同じ顔にしか見えない涼は「一体これをどうしろと……」と困惑したのだが、拓人は勇気がやろうとしていることがすぐに分かった。

「なるほど、これは確かに香澄は喜ぶかもしれないわね」
「ですよね」
「待って、何をしようとしてるの?僕の、花束に」

 拓人と勇気が、互いの常識の上でだけで会話を完結させようしていたのを涼は急いで止めた。

「何って、仕込むのよ」

 拓人が言うと同時に、勇気がどこからか持ってきたマスキングテープを使って、あっという間にまず1つ、男の全身が描いてあるアクスタを花束と合体させた。

「何を……!」
「名付けて、推しと一緒に香澄にプロポーズ大作戦」

 拓人がウインクしながらビシッと涼を指差して言った。

「推しと、一緒に……?」
「そうよ。勇気、説明してあげなさい!そこのトンチキに」
「え!?お、俺がですか!?」
「そもそもあんたがこれの言い出しっぺでしょう。教えてあげなさいよ、これがどうして香澄の気持ちを掴むのか」
「え、ええと……」

 本当に俺なんかが説明していいんだろうか、と言いたげな目で涼を見た瞬間、勇気は悟った。
 逃げたら、やられると。
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