二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
「香澄、今、なんて……」
「あっ……」

 涼に言われて、自分が無意識に結婚というワードを口にしていたことに気づいた。
 これまでだったらきっと

「すみません!私なんかが先生と結婚する妄想をしてしまって……」

 と、狼狽えたところだったろう。
 けれど、香澄はもうそんなことをしないと決めた。

「私、先生と結婚したいって」
「ストップ!香澄!」

 涼が、身を乗り出して香澄の口を片手で押さえた。
 顔面蒼白にプラスして汗だくという、焦りの境地だというのがわかる様子だった。

「香澄、それは不意打ち。ダメ、絶対!」
「んん?(先生?)」
「あのね、あのね香澄……ああもう……こういう時どうすればいいんだ……」

 涼は香澄の口から手を離しつつ、別の手で頭をぽりぽりかいた。
 頬を、思いっきり真っ赤に染めて。

「こんなの、予想外すぎる……」
「先生?」
「ねえ香澄、なんで君はいつもいつも、僕の予想外をいっちゃうの?」

 涼はぶつぶつと「もっとカッコよく決めたかったのに……」と呟きながら、胸ポケットから指輪の箱を取り出し、椅子から立ち上がって香澄の足元に跪いた。

「もう、なりふり構わない。今日こそ、これ受け取ってくれるってことでいいんだよね?」
「はい」
「今、はいって言ったね?偽証したら罪になるからね。もう、撤回は認めないよ」
「その言葉は、先生にお返しします。先生こそ、私を奥さんにして後悔しませんか?」
「するはずないじゃないか……どれだけ、この時を待ってたと思ってるの……?」

 涼はそういうなり、立ち上がり香澄をぎゅっと抱きしめた。

「先生、今まで、待っててくれてありがとうございます。先生の奥さんになりたいです」
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