やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

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「いい加減にしてくださいませんか?
 ご近所迷惑なので、早く帰……」

「ジェン、強がるのはやめろよ。
 あれからずっと泣いてたの?」

 ……は?

 あぁ、オルのブランケットのせいで泣いてしまった涙のあとを見られた?
 昨夜からの泣き過ぎで、目蓋が腫れてた?
 

「俺のせい、だよな?
 話を聞いてくれよ、もうこれからは泣かせないから」


 自分を想って、私が泣いていた、とおめでたいシドニーに。
 会話が噛み合わない相手をどうすれば追っ払えるんだ、と途方に暮れていたら。



 背後から腕が伸びてきて、ドアを開けた。
 いつの間にかバスルームから出てきていたオルがドアを開けたのだ。


 私が開けた、と思ったシドニーの満面の笑顔が、オルを見て固まった。
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