やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
『もう話しかけない、キャンベルも俺に話しかけるな』か。

 私も、そうして欲しい、と何度も言っている。
 他の男性の存在が分かれば、こんなに早く撤収してくれるなら、最初から『部屋には恋人が居るから、帰れ』と言えば良かった。


 ぷんすか怒って帰ったシドニーを見送って。
フィリップスさんがシドニーに見せたよりもっと怖い顔で私を見た。


「貴女のことは、ムーア氏から頼まれて前々から見ていたから、この男性と2年付き合っている、なんて僕には通用しませんよ。
 貴女の部屋には入る訳にはいかないので、報告だけならどこかのカフェにでも、と考えていましたが。
 こう言うことなら、人目のあるところで貴女に説教したくない。
 申し訳ありませんが、お部屋に入らせていただきましょうか」


 ムーアの祖父から頼まれて?
 一昨日の夜も、それで声を掛けてきたの?
 フィリップスさんに祖父には知られたくない、なんて話したけれど、報告されて筒抜けだった?

 説教する、と宣言されてしまった。
 実家が大変な時に男を連れ込んでいる、と思われたか……
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