やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 良かったね、29歳の私。
 本当に愛されて大事にされてるね。
 それが分かったから、私はまたオルに会える日をどきどきしながら待つことが出来る。




「さっきの、私に名前を言わせたのは、自分が名乗った後に黙秘権を使えば、私がもっと答え辛いことを話すように、脅されるから?」

「……俺が犬だから、と言ったろ」

「名前を明かしただけで、満足して帰ってくれたね?」

「あの人は君に甘いから」

「オーウェンって呼んでたのは、貴方達は10年後はオトモダチなのかな?」

「趣味が合うから」

「あー、分かるよ、それ。
 ふたりとも年上の女好き、だ」


 余りにも馬鹿馬鹿しいのか、オルは返事もしてくれなかったけれど、耳朶が少し赤くなっていた。



「オル、このメニュー、好き?」

 彼は黙っている。
 嫉妬するかもしれない私に、気を遣ってるんだ。


「もう妬んでないよ、落ち着いたから。
 彼女は私だし、相変わらず、この料理しか作って……」

「好きだよ、すごく好きだ」
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