やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「私の性分は10年後も、きっと変わっていないと思う。
 だから分かるでしょう?
 貴方が私を想ってくれて、そうしたんだとしても。
 隠すとか、黙っているとか、嘘をつくとか、そんなことをされるのが一番嫌だって」


 オルが頷いたのを確認して、話し続けた。
 多少大袈裟でも、脅しをかけてでも。
 このまま黙って行かないで。


「今、貴方が何も言わなくて、そのまま3年前に行ってしまって、後からそのことを知ったら、私は貴方を恨む」

「……恨む?」

「私に関することは、私が判断する。
 それは19の私も、29の私も同じ。
 私が恨む、と言えば……分かる?」

「……君を失うかもしれない怖さは……骨身に染みてる」

 そのオルの返事も、少し大袈裟だけれど。


「だったら、全部話して。
 10年後に何が起こったのか。
 それから、時戻しの決まりのようなものを全部話して」


 私が時戻しの決まりを話して、と言うと。
 オルが一瞬だけ苦しそうな顔をした。
 やっぱり、何か教えたくないことがあるのね。
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