やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 もし、モニカの言うオルくんが、あの性格の悪い私の魔法士なら、かつてはモニカの信者だったことを恥じて、私にはクレイトンに居たことを言えなかったのだろうか。


 疑問と嫉妬が渦巻いて。
 ぐるぐると思い続けて。
 私の中の例の『未だかつて、両想いの恋人が居たことがない女は、これだから困る』の呪いが発動したのが分かる。


 まだ、わずか10歳の見知らぬオルくんと、聖女モニカの関係に私は嫉妬していた。
 本当は直ぐにでも取って返して孤児院へ戻り、オルくんに会いに行きたかった。
 だけど、それは出来ない。


 どんなに確かめたくても、モニカに彼のことは聞けないし、顔を見るのは来月の帰省まで我慢するしかない。


 ただ……形が変わっても、出会う日付は変わらない、とオルは言っていた。
 シドニーとの出会いは私が覚えている前回よりも早かった。
 私が覚えていないだけで、16歳の10月にオル少年には会っていたのだろうか。


 あんなに綺麗なオルを面食いの私が
(もう自分が面食いだと認める)
 会ったのに覚えていないのはおかしい。

 小さなパピーは汚れを落としたら、綺麗な顔立ちをしていた。
 あの頃が5歳位のオルだとすると、10歳の今なら絶世の美少年として領内で有名で、絶対に誰かに引き取られているはずだ。
 じゃあ、やはりモニカのオルくんは、私のオルではないのだろうか?


 そこまで考えて、ムカムカして気分が悪くて耐えきれず。
 慌てて馬車を停めて貰って、私は道端で……
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