やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

12

 ノックスヒルの夕食は早い。
 その前に母の部屋を訪ねた。


 孤児院の子供達と約束したケーキの話をする。
 思っていた通り、母は気前よく5台のケーキを焼いて、孤児院に届けてくれると言う。


「情けないわね、貴女に言われるまで思い付きもしなかったわ。
 慰問はモニカに任せきりだったから、領主夫人としてはまだまだね」


 モニカの焼くクッキーと被らないように、平日のお昼に届けることにすると言ってくれた。

 それでついでのように、もし、将来的に車を購入するのなら、モンドに免許を取らせてはどうかと言ってみた。
 専属の運転手等お金が掛かりすぎること。
 あの人達はまだその免許が貴重だから、と車に関することしか仕事をしないこと。
 後はもちろん母も知っている、モンドは御者の仕事以外も男手が必要な仕事を率先して手伝ってくれていることを、今更だけれど付け加えた。


 いきなり継いだ伯爵家には多額の負債が有って、これは手を入れなければ無理だと悟った母が一番に行ったのは、それまでの顧問弁護士と代々の侍医に頭を下げて契約を切ることだった。
 彼等に支払う毎年の顧問料は馬鹿にならない額だった。


 弁護士なら実家にモルガン&フィリップスという超一流がついていたし、医師の方はモニカの健康状態をちゃんと管理できているのか怪しいものだった。
 この医師のいう通りに伯父は動いて、借金を増やしていったからだ。
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