やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 ここまで聞いて、私の言いたいことが理解出来ない母ではない。
 自分から言わなくても、周りが良いように動いてくれて、それを普通に受け取れるのは、父ぐらいだ。

 母は父に慣れ過ぎた。
 普通の人間は先回りされると、段々それが息苦しくて辛くなる。
 きっと、モニカは父側の人間じゃない。


「……教えて、ジェリー。
 私は今まで、間違っていた?」

「偉そうに言ってしまって、ごめんなさい。
 私もお母様が、進学を後押ししてくれて、この家から出たから気付けました。
 皆が気付いていませんでした。
 皆がモニカを大切にしている、と信じてました」


 きっと今夜、モニカは私には顔を合わせたくなくて、部屋から出てこない。
 夕食を抜くくらい彼女は平気だ。
 だけど今夜からは、誰も彼女の部屋に夜食を届けない。
 お腹が空けば、自分からエマに頼めば持ってきてくれる。
 それを待ってください、と母に言った。


 母が頷いてくれたので、計画では今夜モニカに告げるつもりだったことを母に打ち明けた。
 母はとても驚いたけれど、来月私が帰省するまで誰にも言わない、と約束してくれた。


 そして、母から過去の話を聞いた。
 それまで聞くことの無かった伯父夫婦の話。
 伯父達が生きていた頃の小さな小さなモニカの話。


 来月、私はモニカと対決する。
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