【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
トーマスにはダンスの基礎を習っていた。
何故ここの使用人は皆、なんでもできるのかを疑問に思ったカトリーナだったが、クラレンスほどになればそうなのだろうと勝手に解釈していた。

伸ばした髪を結えて垂れ目でよく笑うトーマスは剣術に長けて、とても強いのだそう。
いつもクラレンスと一緒に国境を見回りに出ている。
幼い頃から護衛としてクラレンスの側にいる幼馴染兼執事のようなものだと教えてくれた。

たどたどしくステップを踏みながら覚えていたカトリーナにトーマスは「リラックス、リラックス~」と言いながら、根気強く丁寧に教えてくれる。
そのおかげか緊張が解れて今度は合わせてやってみようと、ゴツゴツとした大きな手のひらを握ろうとした時だった。

背後から誰かに抱き抱えられる感覚にカトリーナは驚いていた。
カトリーナの視界には自分のホワイトベージュの髪がハラリと舞っている。
スッと冷気を感じて上を見上げれば、そこには黒いローブを着ていないクラレンスの姿があった。


「クラレンス殿下、どうされましたか?カトリーナ様が驚いていますよ?」

「クラレンス、殿下……?」

「ここからは俺が教える。トーマスは下がってくれ」


トーマスはその言葉を聞いて、キョトンと目を丸くした後にヒューと口笛を吹いた。
その後は息を漏らすようにして笑っている。
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