【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
「うっわぁ~!クラレンス殿下ってば素直じゃないなぁ。やきもっ……ブッ!」
その一瞬でトーマスの唇が氷で塞がれてしまう。
「ん゛ぶっ!?」
「早く温めた方がいい。唇が腫れるぞ?」
トーマスは閉じた唇で「ン゛ンンンンッー!(人でなしー!)」と言って慌てて去って行った。
カトリーナがトーマスの出て行った扉を呆然て見ていると、クラレンスがカトリーナの手を引いた。
「トーマスさんが……」
「気にするな。いつものことだ」
「……ですが」
カトリーナがトーマスの心配していると、ひんやりとした冷気を感じてクラレンスに視線を戻す。
手袋越しに伝わる冷たい空気にクラレンスはハッとした様子でカトリーナから手を離した。
クラレンスの顔は青ざめている。
「すまない……手は平気か?」
「はい、問題ありません」
「そうか……これからはダンスの練習にも俺が付き合おう」
「え……?」
「今度からは俺に声をかけてくれ」
カトリーナが顔を上げると、眉を顰めたクラレンスと目があった。
何故、クラレンスがそう言うのか理由がわからずに首を傾げることしかできない。
「ですが、クラレンス殿下はお忙しいですし、トーマスさんの方が……」
「関係ない」
「どうしてでしょうか?」
「……それは、俺の方がダンスもうまいからだ」
「…………。そうなのですか?」
「つまり……っ、俺以外のやつに触れられるなと言っている!」