【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
クラレンスは額に手を当てて深い溜息を吐いている。
ここ数年、手紙だけのやりとりだけでは不安になった王妃は公務を理由にクラレンスに会いに来たそうだ。


「なら顔は見たでしょう?帰ってください」

「相変わらず冷たいのね。わたくしはこんなに寂しかったというのに」

「もういいでしょう?」

「わたくしの仕事は全て終わらしたわ。今はプライベートよ。固いことを言わないで」


カトリーナは今まで見てきた母親という存在が、自分の母とサシャバル伯爵夫人だけだったため、王妃やクラレンスとオリバーと仲良さげに話す姿をじっと見ていた。
すると王妃がこちらをクルリと振り向いたことで、カトリーナは肩を揺らす。


「ねぇ、カトリーナ……ここでの生活は好き?」

「はい、私は幸せです。皆さんとても優しくて、私には勿体ないくらい……」

「カトリーナ、そう思う必要はないと以前も言っただろう?」

「はい、申し訳……あっ」

「謝らなくていい。カトリーナはカトリーナのままでいいんだ」

「はい、ありがとうございます。クラレンス殿下」
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