虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
(アイツもアイツも使えない……!どうしてこんな無能ばかりなの!?)

シャルルはグッと手のひらを握り込んだ。
カトリーナがいなくなっただけで、こんなにも不便を感じるなんてありえないと必死に言い聞かせていた。
カトリーナは役立たずだったが、使えないわりには朝から晩まで働かされていた。
その抜けた穴が大きすぎて、侍女が何人いても埋まらない。

最近は母もイライラした様子を見せていた。
掃除も洗濯も刺繍も屋敷の仕事も、全然回らない。
カトリーナにしていたように罰を与えれば、自分の悪いところを直すどころか「もう無理です」と、言ってすぐにやめてしまう。
だんだんと新しい侍女も入って来ずに、一番古株の侍女すらも『もう耐えられません』と言ってサシャバル伯爵邸を去っていってしまった。

「さすがにやりすぎだ!」と父に怒られて、怒るのを我慢していたけれど、こんなにうまくいかないとなるとシャルルも我慢できなくなってしまい、やはり手が出てしまった。

(あの女がやっといなくなってスッキリするかと思ったら、今度は使えない侍女達にイライラさせられるなんて最悪なんだけど……っ)
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