【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
「ありがとうございます。真実を知った後もクラレンス殿下は私を見捨てないでいてくれたのですね」

「カトリーナ……俺は」

「最初の態度は関係ありません。クラレンス殿下は〝私〟を見てくださいました」

「…………っ」


クラレンスがいなければ、カトリーナは幸せを知らないままだった。
温かくて美味しいご飯も、綺麗で明るい部屋で暮らせるありがたさも、皆で笑い合って話す時間も、クラレンスを特別に思う気持ちも……ずっと知らないままだった。
クラレンスはこの事実を知った上でカトリーナを受け入れてくれたのだ。
それが何よりも嬉しいと感じた。
クラレンスのディープブルーの瞳は真っ直ぐにカトリーナを見つめている。


「俺はカトリーナの本当の気持ちが知りたい。今からの質問に答えてほしい」

「はい」

「これは俺がカトリーナを守るために必要なことなんだ」


カトリーナはクラレンスの言葉を待つように見つめ返す。


「カトリーナはサシャバル伯爵家に戻りたいと思うか?あの家に未練はあるだろうか?」


カトリーナはギュッと唇を噛み締めながら首を横に振った。
サシャバル伯爵家に戻りたいかと問われたら『絶対に嫌』だと、そう答えるだろう。
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