【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
「ありません」

「…………そうか」


クラレンスはホッとしたように瞼を閉じた。
握っている手が、徐々に温かくなっていくような気がした。


「あの……」

「どうした?」

「カトリーナ、言ってくれ」

「……っ」


しかし今まで奴隷のように暮らしていたカトリーナと、第一王子としての身分もそうだが国の国境を強大な力で守っているクラレンスと自分が釣り合うはずがない……そんな気持ちから口をつぐんでしまう。


「今は二人しかいない。カトリーナがどう思っているのか、本当の気持ちが知りたいんだ」


クラレンスの力強い言葉にカトリーナは自分の気持ちを話そうと決意する。
今はクラレンスと二人きり。

もし今、カトリーナがクラレンスに気持ちを伝えてもいいのなら……たとえ許されなくてもクラレンスがそう言ってくれるのならば、カトリーナは震える唇を開いた。


「私は……私は、皆様と一緒にナルティスナ邸で暮らしたいです」

「……そうか」

「もし我儘を言って許されるのならば、ずっとクラレンス殿下のお側にいたい……そう思っております」


緊張から声が震えてしまうが、これが今のカトリーナの本当の気持ちだった。
カトリーナはクラレンスの顔を見ることが怖くて俯いてしまう。


「俺も、カトリーナとずっと一緒にいたいと思っている」

「……!」
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