【コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
彼女の怒りを買った母はサシャバル伯爵邸での居場所はなくなった。
サシャバル伯爵夫人の生家は侯爵家で、サシャバル伯爵家を立て直すために組まれた縁談だった。
故に、夫人の機嫌を損ねる訳にはいかないサシャバル伯爵は母の味方をすることはなく、自分の身を守るために嘘をついた。

「あの女が迫ってきたんだ」
「私は悪くない」
勿論、母は反論した。
「無理矢理迫られた」
「こんな関係は望んでなかった」

しかし味方もおらず、貧乏な男爵家の三女として行儀見習いに来ていた母に勝ち目はなかった。
男爵家も不貞を働いた母をアッサリと切り捨ててしまう。

そしてサシャバル伯爵夫人も内情をわかった上で母を罰したのだ。
それはここを追い出されることより過酷な罰だったと思う。
「このサシャバル伯爵邸から出て行くことは許さない」
「死ぬまでここで娘と共に一生、苦しむがいいわ……!」
それは母にとっては地獄の宣告だった。

母に拒否権はなかった。
屋敷で働く者達からは白い目で見られて後ろ指を指されても、夫人に虐げられても逃げることは許されない。
居場所がなく、虐げられながもここに残れと言われたからだ。

「こんな人生、嫌……」
「最悪だわ」
「消えてしまえばいいのにっ!」
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