【アニメ化&書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
カトリーナはこれが母の日記だと気づく。
本を持つカトリーナの手は震えていた。

『カトリーナに私の分まで働かせてはダメ。頑張らせてはダメ。カトリーナはたくさん食べて元気でいて欲しい。なんとしても守らなければ……あの男がたまに果物を置いていく。今更、父親のフリをするなんてふざけないで。憎いけどカトリーナのために我慢する』

たまに置かれていた果物はサシャバル伯爵が置いたものだと知ってカトリーナは驚いていた。

そして最後のページには殴り書きでこう書かれていた。

『憎い、辛い、苦しい……咳が止まらない。もう私は長くないだろう。こんな地獄に置き去りにしてごめんなさい。一人にしてごめんね。ここから出て生きてほしい。幸せになって……カトリーナ』

カトリーナは大きく目を見開いて動きを止めていた。
目頭が熱くなり、鼻の奥がツンと痛くなる。
次々に頬に涙が伝う。
カトリーナはこんな形で母の本音をはじめて知ることになるとは思わなかった。

(ごめんなさい……お母様。ごめんなさいっ)

ポタポタと涙が溢れ出てくる。
母との思い出が、今になって鮮明に蘇る。
今まで辛い思い出として、心の奥底に仕舞い込んでいた。
けれど日記に照らし合わせてみると、母の隠されていた想いに気づかされる。
< 210 / 218 >

この作品をシェア

pagetop