【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
「なっ……!」
しかしカトリーナが水を拭いている腕を真っ黒なローブから出た白い手袋をはめた大きな手が乱暴にカトリーナの床を拭いている腕を掴んだ。
「───何をしている!?」
カトリーナは打たれると思い、痛みを覚悟してギュッと目を瞑って衝撃に備えていた。
しかしいつまで経っても痛みはない。
カトリーナは瞼をそっと開いてからすぐに震える唇を開いた。
「申し訳、ございません……すぐに絨毯を、綺麗にしますので」
「は……?」
カトリーナがそう言って床を拭こうとしてもクラレンスは手を離してくれない。
口元は見えるものの、表情が読み取れずに怒っているのかどうなのかもわからない。
カトリーナはこんな綺麗な布で絨毯を拭いてはいけなかったのかもしれないと、自らの行いの間違いを必死に探していた。
「申し訳、ございません」
「もういい……早く体を拭け!」
「…………え?」
「ニナ、すまないが新しい布を頼む」
「か、かしこまりました!すぐに持って参りますっ」