【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
クラレンスはカトリーナとニナの間に入り、ニナを守るように片腕を広げた。
クラレンスはニナの手から布を取ると、カトリーナに投げつけるようにして渡す。


「濡れた体でこれ以上、絨毯を汚すな」


クラレンスの言葉にカトリーナは肩を揺らした。
そしてすぐに水滴が垂れて水たまりになっている絨毯を見て、やってしまったと思った。
クラレンスは自分の体を拭けと渡したつもりの布だったが、カトリーナは床を拭けという意味合いで受け取り、すぐさま膝をついた。

(これ以上、クラレンス殿下の機嫌を損ねてしまえば私は……っ)

カトリーナに帰る場所はない。その思いから焦りを感じていた。
周囲が唖然とする中、カトリーナは必死に絨毯に染み込んだ水分を叩くようにして拭っていた。
しかし自分の体や髪から滴る滴のせいで終わらない。
体が濡れていて意味はないが、許可なくやめてはいけないと思ったカトリーナは作業を続けていた。

床掃除は毎日、日課のようなものだった。
サシャバル伯爵邸の床を綺麗に磨くのもそうだが、カトリーナに嫌がらせをするためなのかシャルルがいつもわざと料理や紅茶、花瓶を落としてはカトリーナの仕事を増やす。
掃除していたバケツをひっくり返されるのは日常茶飯事で、そのせいで仕事が終わらずにサシャバル伯爵夫人にいつも怒られていた。
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