【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
シャルルに関してはベル公爵やオリバーのためにもと今回だけはと受け入れたが、王都付近の温暖な気候でぬくぬくと育った令嬢にここでの暮らしは耐え難いものだろう。

(この環境に耐えられるはずもない。すぐに問題を起こして追い出すことになるだろう。今まで来た令嬢達も一日と持ったことはない)

しかし約束の時間になっても現れずにゴーンが気づくまでずっと外で待っていたそうだ。
そして濡れた体でその場に蹲るシャルルと布を持って困惑しているニナの様子を見て、クラレンスはあることが頭に過ぎる。

二人を責めてこちらの非を追求して逃げようとしているのではないか、と。

令嬢達の相手を蹴落とすためならば手段を選ばないやり方は、クラレンスも十二になるまで間近で見てきた。
それに加えてオリバーから聞いていたシャルルのことやアリーリエを傷つけたこと。
シャルルの悪い噂ばかり耳にしていたこともあり、悪なのだと無意識に決めつけていたのかもしれない。

姑息な手を使い逃げ出そうとするシャルルの小賢しさを目の当たりにしたクラレンスは怒りが込み上げてきた。
この邸で働くものはクラレンスにとっては家族同然だった。

ニナは母の代から勤める侍女長の娘の一人で、まだ若いがこの過酷の環境の中、文句も言わずに働いている。
ゴーンもベル公爵と同じように、クラレンスのよき理解者だった。
少しでも居心地のいい場所を作ろうと細かな部分まで気を回してくれている。
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