【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
「ニナ、何か他のものを持ってきてくれ」

「はい!」


ニナは頷いて、早足で部屋から出て行ってしまった。
カトリーナはニナの後ろ姿を視線で追いかけていたが、クラレンスはニナが先程まで座っていた椅子に腰掛ける。


「カトリーナ」

「はい」

「ここは伯爵邸ではない。ここにはお前を罰するものはいない。安心しろ」

「……?」


クラレンスが何故カトリーナにそう告げたのかはわからない。
けれどここにいる人達はサシャバル伯爵夫人やシャルルのように叩いたり、怒鳴ったりしないというのは確かだった。
クラレンスの言う通り、ここはサシャバル伯爵邸ではない。
埃だらけの屋根裏部屋ではなく、明るくてとても綺麗な部屋とベッド。
先程まで食べることに夢中で気づかなかったが、カトリーナの腕や頬には包帯が巻かれて手当ての後があった。

(これは……)

カトリーナがじっと自分の手首を眺めているとクラレンスが声をかける。


「先程、医師に診てもらった。ひどい栄養失調だそうだ。一体、今までどんな生活をしてきた?何を食べていた」

「……っ」

「もう一度言う。ここにはお前を傷つける者はいない」
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