【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
(食べることが仕事……?でもクラレンス殿下の言うことを聞かないと)
カトリーナはクラレンスの指示通りに皿を持って食べ物を口に運んだ。
ここにテーブルはないので、覚えたてのマナーを披露する必要はないだろう。
冷めてはいたけれど、甘くて柔らかい味にカトリーナは感動を覚えて目を見開いていた。
「どうした?」
「甘いです」
「…………は?」
「こんな美味しいものを、食べたのが初めてで……。本当にすべて私が食べていいのですか?」
優しい味にカトリーナはキラキラとした瞳でクラレンスを見た。
いつもは固かったり、味がなかったりと食べ物が美味しいと感じたことはほとんどない。
しかし果物以外の甘みのある味に感動を覚えた。
こんな幸せな仕事がこの世界にあることをはじめて知ったのだ。
クラレンスとゴーンとニナが信じられないと言いたげに目を合わせていたがそれすらも気にならなかった。
カトリーナの問いかけにクラレンスが頷いたのを見て、再びスプーンを口元に運ぶ。
マナー違反になってしまうからと音を立てずにゆっくりと食べていた。
あっという間に空っぽになった皿をニナが受け取った。