【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
すると上から吹き出すような笑い声が聞こえてくる。
見上げるとクラレンスが体を縮めて笑っているようだ。
そして起き上がった拍子に真っ黒なローブな帽子がハラリと取れる。
明るい空のような髪と深い青の瞳、真っ白な肌は白い雪のようだ。
はじめてクラレンスの笑っているところを見たカトリーナはその表情に釘付けになっていた。
(とても綺麗……)
どこが呪われているのかわからないほどに美しく若々しいクラレンスの姿に見入っていた。
カトリーナの視線に気がついたのかすぐにフードを被り直してしまう。
クラレンスは後ろからカトリーナの腕を引く。
目の前にはいつもと同じ真っ黒なローブを被ったクラレンスの姿。
「どうして隠すのですか?」
「……それは」
「雪みたいで、とても綺麗なのに……」
カトリーナがそう言うと。クラレンスはそのまま動かなくなってしまう。
暫くの沈黙の後、クラレンスは誤魔化すようにカトリーナの雪に埋もれた跡を指差していた。
自分がこんな格好をして雪に埋もれていたのだとしたら確かに面白いかもしれない。
カトリーナもクスリと小さく笑った。
こうして笑顔になったのは何年振りだろうか。
もう覚えていないくらい笑顔など作っていないことに気づく。