元皇女なのはヒミツです!

「先生、そのご令嬢の家庭教師は過去に何人が辞めたのですか?」と、私が尋ねるとアルフィー先生は笑顔のまま凍り付いた。

「答えてください、先生!」と、私は詰め寄る。

 先生は降参とばかりに両手を上げて、

「……ここ一月では3人ほど」

「やっぱり!」

 案の定、かなり問題のある令嬢のようだわ。おそらく辞めた家庭教師が多すぎて悪い噂が広まって、もう貴族の中には教師の成り手がいないのだろう。その中には、きっと……。
 私は念の為もう一つ先生に訊いてみる。

「ちなみに、先生はどれくらいで辞めたのですか?」

「……一ヶ月持たなかったよ」

 意外にあっさりと白状した。

「やっぱり!」

 私は訝しげに先生を見た。
 これって、私を生贄にするつもりね! たしか先生は子爵だったわ。さすが貴族、汚い!

「頼むよ、リナ君! 君はダンス未経験のオリヴィア君に上手に教えていたじゃないか! きっと今回も上手くやれるよ! 先生は信じてる!」と、先生は必死の形相で両手を合わせた。

 私が尻込みしていると、

「先方は最低でも相場の倍は支払うそうだよ?」と、先生はニヤッと黒い笑みを浮かべた。

 私は先生の意外な腹黒い一面に驚愕して開いた口が塞がらなかった。やっぱり貴族ってどこかしら食えないところがあるわ。もう、信じられるのはセルゲイとオリヴィアだけ!

「や……やらせていただきます」

 しかし、平民は悪魔の囁きに陥落した。
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