元皇女なのはヒミツです!


 馬車は恐れ多くも私も同乗させてもらった。
 アメリア様の隣に座ってフレデリック様と向かい合う。こんなに近くで彼と視線が合うなんて思いもよらなかったので私はずっとドキドキしっぱなしだった。

 アメリア様は大規模なお茶会は初めての経験で馬車にいる間もずっと落ち着かない様子で、終始ペラペラと喋りっぱなしだった。

 一方フレデリック様はあまり気が乗らない様子で、ぼうっと窓の外を眺めていることが多かった。
 今回のお茶会はフローレンス様のご自身の王太子の婚約者としての立場を確立するつもりもあるのだろう。それを承知で王太子が赴くということは無言の承諾になるのかもしれない。

 時間は私たちのことなどお構いなしにどんどん前を過ぎて行く。そして嘲笑うかのように私たちの運命までも断りなくポイと置いていくのだ。
 規則的に揺れる馬車の音が真夜中に聞こえる時計の秒針の音みたいに、私を不安定な気持ちにさせた。
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