元皇女なのはヒミツです!

36 侯爵令嬢のお茶会①

 フローレンス・フォード侯爵令嬢の住まう屋敷は王城からも近く、まるで第二の城のような歴史を感じる佇まいだった。
 フォード家の初代当主はリーズ王国の建国時に王の右腕として活躍していたらしい。なので、現在でも王家にとって重要な家門の一つだ。

 私たちは到着すると屋敷の庭に通された。今日はガーデンパーティー形式らしい。天気も快晴で、とても気持ちの良い陽気だ。
 広々とした庭は細部まで丁寧に手入れされていて、1ミリの狂いもなく切り揃えられた低木が庭を囲うようにシンメトリーに植えられて、その技術力に思わずため息が出るほどだった。

 会場には既に多くの令息と令嬢が来ていて、とても賑わっていた。
 新雪のような真っ白で精緻な模様を彫刻された円形テーブルと椅子が規則正しく配置されて、光沢のあるシルクのテーブルクロスの上には女の子の宝石箱に入っていそうな可愛らしい姿の甘いお菓子や軽食が並べられていた。茶器や食器も晩餐会でも通用しそうな一級品で、侯爵家の力の入れようがまざまざと伝わってくる。
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