元皇女なのはヒミツです!

44 忍び寄る影

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 グレースはドスドスと音を立てながら早足で歩いていた。そして歩調に合わせるように呪詛の言葉を吐く。

 むかつく、むかつく、むかつく、むかつく!

 帝国人の平民と帝国人の公爵令息。
 思えば初対面のときから気に食わなかった。エカチェリーナ様の死なんて気にする素振りも全く見せずに、のほほんと学園生活を謳歌して。あまつさえ、あの女は皇女殿下の婚約者であるリーズ王国の王太子殿下に臆面もなく近付いて。

 絶対に、許せない!

 彼女はどんどん校舎から離れていく。
 今日はもう授業どころではなかった。むかむかとした気持ちが胃の奥底から上がってくる。吐き出してすっきりするのなら、今すぐにでもここで全てを出してしまいたい気分だ。
 忌々しい帝国人たち……あの二人の顔を思い浮かべるだけで激しく心が乱されて、どうにかなりそうだ。
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