元皇女なのはヒミツです!

 セルゲイと結婚して5年がたった。
 彼はリーズ国の魔法騎士団として数々の功績を上げて、私は王立魔法研究所で魔道具の開発に勤しんでいる。

 そして、私たちには大切な宝物ができた――娘のアナスタシアだ。

 この子は、アレクサンドル皇家よりもストロガノフ家の血を濃く受け継いだみたいで、僅か4歳にして常に同年代の殿方たちの視線を独り占めするという恐ろしい子だ。
 年頃になった時のことを考えると、今から恐ろしい……。

「俺は半分本気だ。お腹の子のためにも、もっと広い屋敷に引っ越したいしな」と、セルゲイはそっと私の大きなお腹をさする。

 来月、新しい命が生まれる。
 私たち幸せな日々を過ごしていた。

「私、窮屈な宮廷生活はもうこりごりだわ」私も自身のお腹に手を当てた。「それに、この子たちには自由に恋愛して欲しいから」

「いや……アナは絶対に嫁に出さねぇ……!」

「もう! いつかは覚悟を決めなさいよ!」

「はぁ…………」と、セルゲイは深くため息をつく。

 愛娘の未来のことを今から憂いている彼がおかしくて、私はくすくすと笑った。
 彼の腕の中で、なにも知らない無垢な娘が、なにやら落ち込んでいるらしい父親の頭を撫でて慰めている。

 これが、私たちの平凡で平穏な日常。
 それは、これからもきっと続いていくはず。
 子爵夫人の私、その子供たち……時が流れても、皆がずっと幸福な生活を送れたらいいな。


 元皇女なのは、ここだけの秘密だけどね。



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