元皇女なのはヒミツです!

「楽しいな……」と、セルゲイがふっと微笑む。

「えぇ! 最高のデビュタントだわ! ありがとう、セルゲイ」

「こちらこそ、お姫様」

 本来なら私は18になったときにデビュタントを迎えるはずだった。
 そのときはフレデリック様がエスコートをしてくださる予定だった。
 思い描いたデビュタントとは随分違ったけど、とっても素晴らしい思い出になったわ。
 こんなに素敵なプレゼントをしてくれたセルゲイには本当に感謝の気持ち胸が一杯だった。


 曲は終焉を迎えて、私たちは再び一礼をしてダンスは終わる。

「オリヴィア、お疲れ様。上手に踊れていたわよ」

「えぇ! 自分でも信じられないくらいよ! 本当に二人のおかげだわ! ありがとう!」

「オリヴィアが頑張ったからだよ」

「そうよ」

 私たちは次のグループのためにホールの端のほうに向かった。
 一曲終わったら喉が乾いたわ。ちょっとお腹も減ったかも。一旦休憩をして、回復したら今度は会場を隈なく回ってエレーナのドレスの宣伝をしなきゃね。

 そのときだった。

 ――パシャッ!

 にわかに、冷たい液体が豪快に私に降り掛かった。

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