若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
「ワート、殺すなよ」
「わかってる。カレンたちに汚いものを見せたくない」
アーティに言われずとも、殺す気はなかった。
妻子に死体を見せたくなかったし、血に濡れた手で触れるのも嫌だった。
ああ、早くこいつらを蹴散らして、妻子の元へ行こう。
妻子のため、ジョンズワートは前へ踏み込もうとしたのだが。
「旦那様。ここは俺に任せて、お嬢のところへ」
「……チェストリー?」
「あんたは自分が通る道だけ作ればいい。こいつらの掃除は俺がします」
そう言いながらも、チェストリーは襲い掛かってきた男を返り討ちにし、床に叩きつける。
相手はナイフや鈍器を持っているが、チェストリーは素手である。
今は狩人でもあるため、ナイフなどの刃物も普段から携帯しているのだが……それすら出さずに、一人で男たちを片付けていく。
「なあ、あの人が誰だかわかってて、手ぇ出したんだよな? 相応の覚悟はできてるよなあ!?」
「ひっ……!」
チェストリーが、床に倒れる男の足を踏みつけ、ぐり、と動かした。
男から叫びがあがるが、チェストリーがそれを気にする様子はない。
「さあ旦那様。早く行ってください」
彼はカレンに人生を救われ、従者として彼女を守り続けた男。
偽の夫と父親の役を引き受けるほどの忠義だ。
カレンをさらわれて怒っているのは、ジョンズワートだけではないのである。
ジョンズワートに笑顔を向けているが、目が、笑っていなかった。
今のチェストリーには、強烈な殺意が宿っている。
「あ、ああ……。殺すなよ……?」
「ええ。殺さないよう、素手でやります」
先ほどアーティに言われたのと同じ言葉を、今度はジョンズワートがチェストリーへ。
チェストリーは、拳を振りかぶりながらも、やっぱり笑っていた。
にじみ出る怒りと迫力に、ジョンズワートまで気圧されてしまうほどだ。
笑いながら怒り狂うチェストリーの暴れっぷりに、ジョンズワートは少しばかり冷静になった。
十人以上いたはずの賊どもも、もう半数近くチェストリーに制圧されている。
残りの連中も、任せてしまって大丈夫だろう。
「ありがとう、チェストリー」
ジョンズワートは、カレンたちを探すために駆けだした。
「わかってる。カレンたちに汚いものを見せたくない」
アーティに言われずとも、殺す気はなかった。
妻子に死体を見せたくなかったし、血に濡れた手で触れるのも嫌だった。
ああ、早くこいつらを蹴散らして、妻子の元へ行こう。
妻子のため、ジョンズワートは前へ踏み込もうとしたのだが。
「旦那様。ここは俺に任せて、お嬢のところへ」
「……チェストリー?」
「あんたは自分が通る道だけ作ればいい。こいつらの掃除は俺がします」
そう言いながらも、チェストリーは襲い掛かってきた男を返り討ちにし、床に叩きつける。
相手はナイフや鈍器を持っているが、チェストリーは素手である。
今は狩人でもあるため、ナイフなどの刃物も普段から携帯しているのだが……それすら出さずに、一人で男たちを片付けていく。
「なあ、あの人が誰だかわかってて、手ぇ出したんだよな? 相応の覚悟はできてるよなあ!?」
「ひっ……!」
チェストリーが、床に倒れる男の足を踏みつけ、ぐり、と動かした。
男から叫びがあがるが、チェストリーがそれを気にする様子はない。
「さあ旦那様。早く行ってください」
彼はカレンに人生を救われ、従者として彼女を守り続けた男。
偽の夫と父親の役を引き受けるほどの忠義だ。
カレンをさらわれて怒っているのは、ジョンズワートだけではないのである。
ジョンズワートに笑顔を向けているが、目が、笑っていなかった。
今のチェストリーには、強烈な殺意が宿っている。
「あ、ああ……。殺すなよ……?」
「ええ。殺さないよう、素手でやります」
先ほどアーティに言われたのと同じ言葉を、今度はジョンズワートがチェストリーへ。
チェストリーは、拳を振りかぶりながらも、やっぱり笑っていた。
にじみ出る怒りと迫力に、ジョンズワートまで気圧されてしまうほどだ。
笑いながら怒り狂うチェストリーの暴れっぷりに、ジョンズワートは少しばかり冷静になった。
十人以上いたはずの賊どもも、もう半数近くチェストリーに制圧されている。
残りの連中も、任せてしまって大丈夫だろう。
「ありがとう、チェストリー」
ジョンズワートは、カレンたちを探すために駆けだした。