若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
「チェストリー……」

 一人で十数人を相手にしたというのに、チェストリーには少しのかすり傷があるのみ。

「もういい、というのは、どういう……」
「そのままの意味ですよ。お嬢、もういいんじゃないですか? これ以上、ジョンズワート様から逃げる必要も、嘘をつく必要もない。俺は、そう思いますよ」
「ですが……」

 カレンは、すぐそばにいるジョンズワートに気まずげな視線を送る。
 彼女は、ジョンズワートに関する情報を全く入れてこなかったから。今もジョンズワートとサラの仲を疑っている。
 二人が結婚して家庭を築いているかもしれない、とも思っている。
 自分がそばにいれば、二人の邪魔をしてしまう。ショーンが息子だと知られてしまえば、色々なものを壊してしまう。
 だから、ショーンがジョンズワートの子だと知られるわけにはいかなかったし、彼から逃げ続けなければいけないのだ。
 チェストリーはカレンとずっと一緒にいた人だから、彼女の考えはわかっていた。

「お嬢には知られないようにしていましたが、俺はこの4年間、ジョンズワート様の動きを調べていました。旦那様は……お嬢を探し続けていました。再婚の話も全て断って、4年間、ずっと」
「私を、探し続けていた? でも、ジョンズワート様はサラを愛していたのでは?」

 この言葉に驚いたのはジョンズワート。

「え!?」

 とずいぶん間抜けな声が上がった。
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