若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
 こうして、二人はようやく想いを通じ合わせた。
 
 ジョンズワート15歳。カレン12歳。その頃には既に、両想いだったというのに。
 ここに辿り着くまで、10年以上かかってしまった。
 ずっとすれ違っていたことを理解し、夫婦としてやり直すことを決めた二人であったが――

「あー大変だった。お嬢に何年付き合わされたんだか」
「わかるぜチェストリー。俺もワートには好き放題使われてたからな」
「どうするべきかずっと悩んでたよ」
「どこまでもすれ違い続けてたんだな」

 はあー、と盛大に溜息をつき、ああ疲れた大変だったと言い合う従者コンビを前に、すっかり縮こまっていた。哀愁すら漂っている。
 二人はずっと前から両想いだったのにも関わらず、勘違いすれ違いを重ね、従者たちをずいぶん苦労させていた。
 どこまでもすれ違っていた。まさにそれである。
 カレンもジョンズワートも返す言葉もなく、しょんぼりするのみだ。

 現在地は、カレンとチェストリーが夫婦として暮らしていた家。
 四人掛けのテーブルで、カレンとジョンズワートが隣に。正面にはそれぞれの従者が座っている。
 落ち着いて話せる場所はどこかと考えたとき、ここが1番だったのだ。
 ちなみに、ショーンは実の父であるジョンズワートの膝に座っている。
 ショーンに聞かせるのはどうかと思い、一度、村の者に預けるつもりだったのだが……。
 なにか感じるものがあるのだろうか。本人がジョンズワートの膝に乗ると言ってきかなかったのである。
 ……呼び方は、ワートおじさんのままだが。

「あの、チェストリー?」
「なんでしょう、奥様」
「いえ、なんでも……」

 カレンのことを「奥様」と呼ぶチェストリーは、大変いい笑顔であった。
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