若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
 ある程度の準備期間を経て、カレンとジョンズワートは、ホーネージュ王国へ戻ることとなった。もちろん、二人の息子のショーンも一緒だ。

 ラントシャフトで世話になった者たちへの挨拶も済ませた。
 全てを話しはしなかったものの、村人たちは本当の父親の存在と、帰国の話を意外とすんなり受け入れてくれて。
 訳ありっぽかったものね、ショーンは父親そっくりだったんだなあ、たまには顔を見せてね、と故郷に帰るカレンたちを見送ってくれた。
 寂しそうにしている者も多かったが、あるべき場所に戻るのだ、それがカレンの幸せなのだと理解して、笑顔で手を振ってくれたのだ。


「……いい人たちだね」
「はい」

 村人たちに手を振り返しながら、カレンは微笑んだ。
 ジョンズワートは、カレンの瞳にうっすらと滲む涙に気が付いていたが、あえて指摘はしなかった。
 4年も世話になった場所、人から離れるのだ。泣きたくもなるだろう。
 それでも涙をこらえ、ジョンズワートと共に帰ることを選んでくれた彼女の気持ちをくんだのだ。



 行きは馬で急いだが、まだ幼いショーンもいる帰路は、馬車を選んだ。
 馬車の中や、途中で立ち寄った町や宿で。カレンとジョンズワートは、色々なことを話した。
 離ればなれだった時間を埋めるかのように。
 幼い頃の思い出話から、離れていた4年間に起きたことまで。
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