若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
 そうしてステージを楽しんだり、出店で食べ物を買ってみたり。
 しばらく経つころには、ショーンもいくらか落ち着いていた。
 そろそろ大丈夫かと判断し、下におろして手を繋ぐ。
 なるべく人混みを避けていたから、ショーンがあっちこっちに行きたがっても、なるべく好きにさせてあげることができた。
 もちろん、ジョンズワートとカレンは息子につきっきりである。

 歩いているうちに、雪像や、雪で作られた遊具のあるエリアに辿り着いた。
 初めて見る大きな大きな雪の像に、ショーンはやっぱり大興奮で。
 きゃー! とはしゃぐ姿には、夫婦揃って笑みをこぼした。
 長身のジョンズワートから見ても大きく、高さもある雪像だ。
 まだ幼いショーンの視点だと、もっともっと巨大なものに見えるのだろう。

 中には、子供が遊べるよう階段と滑り台がついているものまであった。
 当然、ショーンはそれで遊ぶと主張する。
 そうなるとわかっていたから、カレンもジョンズワートも「はいはい」と息子に付き合った。
 ショーン一人では危ないから、カレンも一緒にのぼって、滑って。
 ジョンズワートがいる位置まで滑り降りたときには、二人揃って満開の笑顔だった。

 もう一度やりたいとせがむショーンに、カレンは快く頷く。
 ジョンズワートは、何度も何度も雪の滑り台で遊ぶ妻子を見守りながら、ああ、そういえば彼女は幼い頃こうして遊べなかったんだよな、と幼き頃に想いを馳せたりもした。
 ちなみにこの雪像についた滑り台、ジョンズワートの体格では遊ぶのが難しいため、ここでのショーンの相手はカレンに任せている。
 もう何度滑ったのかもわからないほどに満喫した妻子が、ジョンズワートの元へ戻ってくる。
 二人とも「楽しかったねえ」とにこにこほくほくである。
 このとき、ジョンズワートは少しだけ、己の身長の高さを恨めしく思った。
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