若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
 呼び方は今も「わとしゃ」だけれど。ショーンとも、ずいぶん親子らしくなれた。
 もしかしたら、そう遠くないうちにお父さんと認めてもらえるのではないかと、期待していた。
 離れ離れになっていた分、大事にするつもりだった。もう妻子を離さないと誓っていた。
 それなのに、また、失うのだろうか。

「ショーン! どこだ、ショーン! ショーン!」

 ジョンズワートの叫びもむなしく、息子が見つかることはなく、時間だけが過ぎていく。
 絶対に失わないと、もう手を離さないと決めていたのに――大事なものが、ジョンズワートの手をすり抜けていく。
 最初にカレンが消えたときのこと。再会後、カレンとショーンが誘拐されたこと。過去の恐怖が、ジョンズワートの脳裏に蘇る。
 大きな声を出しながら走り続けたジョンズワートは、はあはあと荒い息をしながら膝に手をつく。

「ショーン……」

 涙がこぼれてしまいそうだった。
 恐怖に足がすくみそうだった。
 けれど、このまま立ち止まっているわけにはいかない。
 今度こそ、大事な人を失いたくない。
 疲れていたって、挫けそうになったって、追いかける。見つけ出す。諦めない。
 ジョンズワートはこぼれそうになる涙を拭き、ぐっと顔を上げた。

「絶対、見つけるから」
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