若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
 必死の捜索を続けているうちに、ショーンと思わしき子供を見たという老紳士に出会えた。

「ああ。あんたによく似た子なら、少し前に見たよ」
「本当ですか!」

 ジョンズワートとショーンがよく似ていることが、幸いした。
 年齢の違いこそあるが――瓜二つの男が目の前にいるのだ。
 容姿の特徴を伝えるだけよりも、記憶を掘り起こしやすいのかもしれない。

「その子はどこに……!?」
「ばあさんと手を繋いで歩いて……。あっちの方へ向かったよ」
「ありがとうございます!」

 老紳士が言うには、ショーンは高齢の女性と手を繋ぎ、ある方向へ向かったそうだ。
 その女性の特徴も聞こうとしたが、すれ違っただけであるから、そこまで詳しい情報を引き出すことはできなかった。
 しかし、十分な情報である。
 ジョンズワートはしっかりと礼を言い、老紳士が指さした方へ進んだ。

「息子さん、見つかるといいな!」

 その言葉に、ジョンズワートは手を挙げることで応えた。
 聞き込みを続けていくうちに、1つの民家に辿り着く。
 ショーンが、この家に入っていったという目撃情報があったのだ。
 息子を連れていたのは老婆だという話だが……。どんな人間なのか、なにが目的なのかまでは、わからない。

「ショーン! ここにいるのか!?」

 焦りから、ジョンズワートはノックもせず、作戦を立てることもなく、勢いよく民家のドアを開けてしまった。
 そんな彼の目に飛び込んだのは、素朴な佇まいの、なんの変哲もない家庭の一室であった。
 その真ん中あたり。暖炉の前に、毛布を巻かれた小さななにかがいるのがわかる。
 もしや、と思うと同時にそのなにかが振り向き――
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