若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
 カレンの背に置かれていたジョンズワートの手は、今度はカレンの手を取って。
 少し恥ずかしそうにはにかんで、そんなことを言うものだから。

「はい。……喜んで!」

 カレンもまた、自分の気持ちに素直になって、そう答えた。
 迷っていた、勇気が出た、デート。そんな言葉が聞けた喜びで、声が弾んでしまう。
 普段のカレンなら、彼が気を遣ってるだけだと思い、誘いを断っていたかもしれない。
 けれど、今は彼に触れられているから。なんだかふわふわとした心地で、快くジョンズワートを受け入れた。

 そのあとは、二人で食事を取りながら、今日の「デート」についての話をした。
 今までにない楽しさと嬉しさで、自然とカレンの表情も明るくなる。
 デュライト邸に来てからの彼女は、いつもどこか苦しげで、笑顔も少なかった。
 そんな彼女が楽しそうに自分と話してくれるものだから、当然、ジョンズワートの気持ちも上昇する。

 ああ、彼女をデートに誘ってみてよかった。
 自分も一緒に行ってよかったんだ。
 これからは、もっと一緒に過ごしたい。
 8年の間に離れてしまった距離を、少しずつ縮めていきたい。
 
 食事と身支度を終えたジョンズワートは、そんな思いとともに、カレンの手を取って馬車に乗りこんだ。
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