若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
「ありがとうございます、ジョンズワート様」
「喜んでもらえてよかった。お茶をするときは、一緒にこれを使おう」
「はい!」

 これまでも、ジョンズワートに色々な贈り物をされていた。
 もちろん嬉しかったが、どれもジョンズワートが一人で選んで、カレンの分だけを買ってきたもので。
 けれど、一緒に見に行って、一緒に選んだ今回は、いつもよりずっと特別で、とびきり嬉しく思えた。



 今までのことが嘘のように、カレンの心の氷が解け始めていた。

――少し勇気を出すだけで、よかったのね。

 あのとき、一緒にでかけないか、とジョンズワートに言ってみてよかった。
 自分たちに必要なのは、少しの勇気と、きっかけだったのかもしれない。
 

 8年も経ったのに、ジョンズワートが自分のことを好きなわけがない。
 きっと彼は、昔につけた傷の責任を取るために、本当に好きな人を諦めて自分と結婚したのだ。
 そう、思っていた。

 でも、今は。こうして二人で「デート」して、揃いの茶器まで購入し、笑顔を向け合う今は。
 二度目のプロポーズのとき、彼に言われた「ずっと好きだった」という言葉や、チェストリーやサラが教えてくれた「ジョンズワート様はずっとあなたのことを想っていた」「旦那様は、ずっと奥様のことを求めていた」といった言葉を、信じられるような気がした。
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