若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
カレンにとって、その日は、特別でもなんでもない。けれど大切な、普通の一日のはずだった。
チェストリー、ショーンとともに、馴染みの飲食店へ。
自分たちが採集や加工をした食品を卸すためだった。
母国を離れ、あらゆることが変わってしまったが、周囲の人々がよくしてくれるおかげでなんとか生活できていた。
この店の主人も、カレンたちを贔屓にしてくれるのだ。
カレンは、偽の夫・父の役を務めてくれるチェストリーにはもちろん、村の人々にも心から感謝していた。
店には、旅の者と思われる男二人がいた。
一人は酔い潰れてテーブルに突っ伏し、もう一人はフードをかぶって俯いていた。
昼間からずいぶん飲んだなあ、ぐらいには思ったが、特に関わる必要もないからそっとしておくつもりだった。
しかし。
「おじたん、だいじょーぶ?」
息子のショーンが、テーブルに突っ伏す男に近づき、話しかけてしまった。
ショーンは優しく懐っこいタイプで、こういったことが起きるのも珍しくはない。
村の者だったらあまり心配はいらないが、相手は誰かもわからない旅の人間。それも、だいぶ酒を飲んでいる。
カレンは慌ててショーンを回収しにいった。
「旅の方ですか? 急に申し訳ありません。この店にはよく来るものですから、この子ったら、慣れすぎちゃっ……て……」
そこで、男と目が合う。
「ワート、さま……?」
「カレン……」
ショーンが話しかけた相手。
それは、ここにいるはずのない男――ジョンズワートだった。
チェストリー、ショーンとともに、馴染みの飲食店へ。
自分たちが採集や加工をした食品を卸すためだった。
母国を離れ、あらゆることが変わってしまったが、周囲の人々がよくしてくれるおかげでなんとか生活できていた。
この店の主人も、カレンたちを贔屓にしてくれるのだ。
カレンは、偽の夫・父の役を務めてくれるチェストリーにはもちろん、村の人々にも心から感謝していた。
店には、旅の者と思われる男二人がいた。
一人は酔い潰れてテーブルに突っ伏し、もう一人はフードをかぶって俯いていた。
昼間からずいぶん飲んだなあ、ぐらいには思ったが、特に関わる必要もないからそっとしておくつもりだった。
しかし。
「おじたん、だいじょーぶ?」
息子のショーンが、テーブルに突っ伏す男に近づき、話しかけてしまった。
ショーンは優しく懐っこいタイプで、こういったことが起きるのも珍しくはない。
村の者だったらあまり心配はいらないが、相手は誰かもわからない旅の人間。それも、だいぶ酒を飲んでいる。
カレンは慌ててショーンを回収しにいった。
「旅の方ですか? 急に申し訳ありません。この店にはよく来るものですから、この子ったら、慣れすぎちゃっ……て……」
そこで、男と目が合う。
「ワート、さま……?」
「カレン……」
ショーンが話しかけた相手。
それは、ここにいるはずのない男――ジョンズワートだった。