あの道を、貴方と。

「つ、ついたぁ・・・」

「よくがんばりましたね」

四月二十一日。わたし達はようやく白河の関に到着した。

確かにめちゃくちゃ疲れた。主に精神的に。まさかあんなにたくさん寄り道するとは思ってなかったから途中から「まだ?」「まだだ」の応酬が続いてた。あ、もちろんこんな口調じゃなくてそれぞれに合わせてたけどね?

流石に奥の細道をちゃんと読んだことのないわたしも、ここで芭蕉が何かいうのは知っている。理由は簡単。

わたしがここで[曾良]として句を詠むから!(ちなみにわたしが句を詠むのはこれで二回目。一回目は黒羽についたときぐらいに詠んだ。詠んだっていっても新のおじいちゃんが書いた句一覧の中の一首だけどね)

「・・・心許なき日かず重るままに、白川の関にかかりて旅心定りぬ。[いかで都へ]と便求しも断也。中にも此関は三関の一にして、風騒の人心をとどむ。秋風を耳に残し、紅葉を俤にして、青葉の梢猶あはれ也。卯の花の白妙に、茨の花の咲そひて、雪にもこゆる心地ぞする。古人冠を正し衣装を改し事など、清輔の筆にもとどめ置れしとぞ」

ほら来た。わたしはあらかじめ用意していた紙と筆にサラサラと書いていく。

「曾良」

「はい。えっと・・・卯の花をかざしに関の晴着かな・・・?」

最後にちょっと疑問系になっちゃったけどチラッと芭蕉の方を見たら頷いてくれたから大丈夫・・・だろう。よかった・・・

「それでは、今回の旅の目的、奥州へ、行きましょうか」

「っ、は、はい」

ゴクリ、と唾を飲み込んでわたし達は旅の目的、奥州に入った。

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