聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
晴湖は友好的で、話がはずんだ。
社交的で話し上手、聞き上手。
スマホ使えないと不便だし暇よねー、などと盛り上がった。
ルールやマナーなんて気にすることなくお茶とお菓子を楽しむことができた。
一方のシェリナは暗い表情でろくにしゃべらなかった。
「あ、そうだ」
話が途切れたタイミングで、三千花はふと思い出した。
席を立ち、引き出しから封筒を取り出す。
その封筒を二人に渡した。
「偶然拾ったんです。お二人のものですよね」
封筒を開けた晴湖は中を見て動きが止まった。
シェリナは中を見てから三千花を睨む。
「私の名前はシェリナよ!」
急にシェリナが叫ぶ。
「改名するんだから! 字はまだ決めてないけど!」
「あ、そうなんですね」
三千花はそうとしか答えられなかった。最近はいろんな名前があるから、芳和子と書いてシェリナと読むのかと勘違いしていた。
「三千花さん……これ、見たの?」
晴湖は顔をこわばらせ、聞く。
「すみません、見ました」
免許証は情報が露出している。手に取ったときに写真などの情報を見ないですむわけがない。そこにある晴湖の顔は、現在の美しい顔と違っていた。
「そう……」
晴湖は渋面を浮かべて黙る。