聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜





 午後三時に、また三千花の部屋でお茶会が行われた。今回もリグロットが立会に入ることになった。

 前日と違い、三千花は少しわくわくしていた。
 ここに来てからようやく話の通じる人に会える。

 時間になり、ドアがノックされる。
 エミュリーが出て、二人の来客を招き入れた。

 一人は三千花より若く、とても不機嫌そうだった。ごてごてと着飾っていて、全体的にアンバランスだった。化粧が濃くて、ケバケバしい。黒い髪は手入れがされていないらしくてゴワゴワだ。伸ばしっぱなしらしく毛先が不揃いでだらしなく、彼女を陰鬱に見せた。

 もう一人は質素なドレスだったが、それが返って彼女の美しさを際立たせていた。茶金に染められた髪が結い上げられ、スッキリとしていながら優艶だ。彼女がそこにいるだけで空気か明るく華やかになった。彼女は三千花より少し年上に見えた。

 三千花は少し驚いた。彼女は写真と容姿が違っていた。が、口に出しては何も言わない。

「お招きありがとございます」
 質素なドレスの女性がカーテシーをして挨拶をした。

 あれ?
 三千花は慌ててカーテシーを返す。日本人同士ならこんなことしなくてもいいと思ったのに。
 もう一人はカーテシーをしなかった。ぶすくれてうつむいている。

 なんかいろいろ想像と違う。もっとお互いに「会えてよかった!」という感じになると思っていた。

「ほら、シェリナちゃんも。挨拶は基本よ?」
 シェリナと呼ばれた質素な服の女性は、返事をしない。

「ごめんねえ、彼女人見知りみたいで。あ、私も会ったばっかりでよく知らないんだけど」
 茶金の髪の女性が困ったように微笑んだ。笑顔はなおさら美しかった。

「鈴里三千花です。よろしくお願いします」
「三千花さんね。よろしく。白石晴湖(せいこ)です彼女は乙女沢シェリナさん」

 では、乙女沢芳和子は、シェリナと読むのだ、と三千花は理解した。とうていシェリナとは読めないと思うのだが。

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