聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
 朝食の後、アルウィードは言った。
「魔法を使いたいなら少し教えてやる」

「本当に!?」
「少しだけだぞ」

 アルウィードは三千花とリグロットを連れて中庭へ行った。
「城内は基本的には魔法が禁止されている。使って良い場所は限定的だ。だから俺の許可なしでは使うなよ」

「えー」
 抗議の声を上げる。が、同時にエミュリーやリグロットが目の前で魔法を使ったことがない理由がわかった。禁止されているなら使えないだろう。

「魔法の使い始めは力のコントロールができないことが多い。下手に使ってけが人が出たらどうする」
 そう言われると、三千花には反論のしようがない。

「使っていい場所ってどこ。ここだけ?」
「知る必要はない」
 切り捨てるアルウィードに、三千花は口をとがらせる。

「通常は厨房や洗濯場などで使われている。君が立ち入るような場所じゃない」
「なんでそういう言い方をするの?」

「君が変なことを考えないように」
 変なこと、とはつまり脱出だろうか。

 洗濯場に潜り込んて着替えを手に入れて外に出る、とか?
 だが、この城に出たところでなんの宛もない。三千花にはそんな行動力はない。

 そもそも今はそんなことをする必要がない。ファリエルタが帰らせてくれるという。その連絡を待たなくてはならない。

「ついでに言うが、左手のこの指輪が俺とつながっている。だから君がどこにいても俺には場所が分かる。逃げても無駄だぞ」

「勝手にGPSつけるの辞めてくれない? プライバシーの侵害じゃん」
 言ってから、GPSって通じるのか、と疑問に思う。

< 105 / 317 >

この作品をシェア

pagetop