聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「水よ、いでよ!」
 三千花が言うと、水は両手の器いっぱいに現れた。
「おお、すごい!」
 三千花は感動する。

「この水って飲めるの?」
「飲めるかどうかは能力者しだいだ。君のは大丈夫そうだな」
 三千花は試しにそのまま飲んで見る。

 アルウィードは驚いたのち、笑った。
「……とうていご令嬢のやることじゃないな」
「何が」
「いや、何でもない」

「空を飛べたりもするの?」
「できなくはない。魔力を相当消費するが」

「飛びたいなー」
「連れてってやろうか」
 耳を食べるのかと聞きたくなるくらいの距離で彼が(ささや)く。

「結構です」
「遠慮するな。言っておくが、いきなり空を飛べたりはしないぞ」
 念を押され、三千花はがっかりした。

「ところで魔法って、この状態でないと使えないの?」
「そんなことはない」
 あっさりとアルウィードは認めた。

「じゃあ離して!」
 もがくとすぐに離してくれた。

「いつも隙だらけだな。かわいいが心配だ」
 三千花はムッとした。だが、隙だらけなのはその通りな気がする。

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