聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
 三千花を求めているわけではないのだ。
 愛情表現に見える彼の行動は、結局は聖母を手に入れるためのものに過ぎない。

 そもそも自分は聖母などではないのに。
 聖母でないとわかったとき、彼はどんな態度になるのか。

 そうやっていろいろ考えるとなんだか気が沈むし、じんわりと怒りのようなものが()いてくる。
「そんなことより、魔法やろう、魔法!」
 思考を振り払うように、三千花は言った。

「魔法って、腕をふらないとできないの?」
「人によります。その方がやりやすい人が多いというだけのことでございます」
「そうなんだ」

「使いすぎにはご注意くださいませ。魔力の使いすぎで倒れることもございます」
 リグロットが言う。

「大丈夫」
 今のところ、体の不調は感じない。

「リグロットは魔法使えるの?」
「もちろんでございます」
「どんな?」

「得意なものは雷撃の魔法でございます」
 そう言って、リグロットは少し魔法を使って見せてくれた。光が空を切って走る様はとてもカッコ良かった。

 三千花も真似しようとしたが、静電気のような小さな光が出るだけだった。
 三千花はそれからも思う存分、魔法を堪能(たんのう)した。

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