聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
* * *
その夜、三千花はリグロットからアルウィードが倒れたという報告を受けた。
「なんで?」
昼間、あんなに元気だったのに。
「魔法を使いすぎたのだと思われます」
「どういうこと?」
三千花の問いに、リグロットは口ごもる。が、やがて言いにくそうに口を開いた。
「三千花様が魔法を使うと、指輪を経由してアルウィード様の魔力を消費します」
「えっ」
三千花は青冷めた。
最初からそう説明されていたのに、その意味をまったく理解していなかったことに気づく。
中庭で魔法を堪能したあとも、部屋でこっそり小さな風を出したりしてずっと遊んでいた。そのせいで倒れたのだとしたら。
使いすぎないように忠告を受けていたのに、と悔やんだ。
「三千花様が使う分を考慮しなかったアルウィード殿下のミスでございます。ですが、しばらく魔法を使わないでいただけるとありがたく思います」
「大丈夫、なの?」
「休めば回復します。通常、倒れるほどの魔法使用はありえないのですが、最近の殿下は調査のために何回も異世界転移をしていたため、魔力を使いすぎていらしたのです。異世界転移は大量の魔力を消費しますから」
「そうなんだ」
そうは言っても、自分が調子に乗って使わなかったら倒れなかったかもしれない。
なんだか落ち着かない気分になった。
「お見舞いとか……」
「お気持ちだけ伝えておきます。三千花様がいらっしゃると無理して元気なフリをなさると思いますので」
「はい」
「明日には復調すると主張していらっしゃいますので、お気になさらず。ただ、魔法はしばらく禁止でお願いいたします」
「はい」
三千花にはどうせ大した使い道もない。
「明日は博物館へ行くことになりました。他の聖母候補様もご一緒です。そのご予定でお願いします」
「はい」
うっかり返事をしてしまう。
結局、向こうのペースで物事が動いているのが気になった。どうせ逆らったところで何もできないのだが。