聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「私が悪いの? なんで?」
「悪くない、悪くないよ」
晴湖は泣きじゃくる三千花のそばに寄り、その背を撫でる。
三千花が泣き止むまで、晴湖はそばに寄り添ってくれた。
窓の外には黒猫がいて、青にも緑にも見えるその瞳が、じっとその様子を見ていた。
* * *
蓮月は何が起こったのか理解できないまま、着替えもせずに出勤した。
無断で遅刻したことになり、上司にしこたま怒られた。最後には心配された。
「ふだん真面目にやってるお前が、どうしたんだ?」
「なんと言ったらいいのか……」
「言えないような理由なのか」
言えない、と蓮月は思う。どう説明したらいいのか。
「雨海から事情聴取の途中でいなくなったと聞いている。異常事態があったんじゃないのか」
「参考人の女性が突然いなくなって、追ってました」
嘘ではない。が、事実とも言い難い、と蓮月は思う。
「なんで連絡しなかった」
「スマホは圏外でした。地下のようなところで」
「事件か」
「なんとも言えません」
上司はため息をついた。
「今後はきちんと連絡しろ。あやうくお前のために署員が動くところだったぞ」
「申し訳ありませんでした」
お叱りを受けたあと、席につく。すかさず隣の優梨が話しかけてきた。
「何があったの?」
「説明のしようがない」
「駆け落ちじゃないでしょうね」
冗談めかして言うが、優梨の顔は笑ってなかった。
「そんなんじゃない」
彼の頭は三千花でいっぱいだった。だが、色っぽい理由ではない。
彼女は見知らぬ男と殺人がどうとか話していた。今回の事件に無関係ではなさそうだ。
いったい何が起きているのか。
謎は深まるばかりだった
「悪くない、悪くないよ」
晴湖は泣きじゃくる三千花のそばに寄り、その背を撫でる。
三千花が泣き止むまで、晴湖はそばに寄り添ってくれた。
窓の外には黒猫がいて、青にも緑にも見えるその瞳が、じっとその様子を見ていた。
* * *
蓮月は何が起こったのか理解できないまま、着替えもせずに出勤した。
無断で遅刻したことになり、上司にしこたま怒られた。最後には心配された。
「ふだん真面目にやってるお前が、どうしたんだ?」
「なんと言ったらいいのか……」
「言えないような理由なのか」
言えない、と蓮月は思う。どう説明したらいいのか。
「雨海から事情聴取の途中でいなくなったと聞いている。異常事態があったんじゃないのか」
「参考人の女性が突然いなくなって、追ってました」
嘘ではない。が、事実とも言い難い、と蓮月は思う。
「なんで連絡しなかった」
「スマホは圏外でした。地下のようなところで」
「事件か」
「なんとも言えません」
上司はため息をついた。
「今後はきちんと連絡しろ。あやうくお前のために署員が動くところだったぞ」
「申し訳ありませんでした」
お叱りを受けたあと、席につく。すかさず隣の優梨が話しかけてきた。
「何があったの?」
「説明のしようがない」
「駆け落ちじゃないでしょうね」
冗談めかして言うが、優梨の顔は笑ってなかった。
「そんなんじゃない」
彼の頭は三千花でいっぱいだった。だが、色っぽい理由ではない。
彼女は見知らぬ男と殺人がどうとか話していた。今回の事件に無関係ではなさそうだ。
いったい何が起きているのか。
謎は深まるばかりだった