聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜


 * * *


 会議室には王族が集まっていた。そこにまた第一王子の姿はなかった。
 会議の冒頭、リグロットが三千花から聞いた話を報告したのち、退席した。

「アルウィード、もう大丈夫なのか」
 ジャンレットがきく。
「問題ありません」
 即座に答えた。その顔は青い。

「聖母の探索で魔力を使いすぎて倒れたとか」
「やりすぎなんじゃない?」
 リーンウィックが呆れたように言う。

「俺はそうは思わない」
 神官たちが惨殺された神殿には送還の魔法陣があった。
 同時に三千花が姿を消した。

 アルウィードは心臓が凍る思いだった。
 無我夢中で探した。

 城の中に彼女の気配を魔法で探す。が、見つからない。
 送還の魔法陣があったのを手がかりに、あちらの世界で三千花を探し回った。
 あのような思いは二度とごめんだ。

「しかし、彼女が聖母である証はありません」
 ライアルードが言う。

「……証明できるかもしれない」
 アルウィードは言う。

「どのようなことでしょう」
「まだ確証はないから言いたくない」
「そんなことでは彼女を聖母候補にしておくことはできません」

「彼女は聖母だ!」
 アルウィードが声を荒げ、立ち上がる。隣にいたエルンレッドはおろおろと兄の腕に手を添えた。
 彼は弟を一瞥(いちべつ)し、再び席につく。

「彼女が神官たちを殺して逃げたと言う者もいます。被害者にはアルウィード殿下の婚約者候補でもあったファリエルタ・リン・キャライルがいました」

「あくまで候補、内々定もしてないような状態だった」
「ですが、あなたの婚約者候補であり、あなたが強引に決めた婚約者である聖母候補が絡んだ事件で命を落とした」
 ライアルードは冷徹(れいてつ)に言い放つ。

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