聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「嫉妬や権力目当てで殺したとでも?」
「王族の婚約者の立場というのは、時として人の命すら軽く見えることでしょう」
「それは三千花を(おとしい)れたい人間にも言えることだ」
 アルウィードが反論する。

「推論だけぶつけあっても仕方ない」
「御意にございます」
 ジャンレットが言い、ライアルードは恭しく頭を下げた。

「推論だけなら、ファリエルタ嬢が聖母暗殺を企んで失敗した可能性もありえますよね。この仮定は不自然すぎますけど。聖母の証言が正しいとして、ファリエルタ嬢も誰かの力を借りないとこんなことできませんよね?」
 ユレンディールが言う。

「神殿内に協力者か……。追加の聖母候補のことといい、調査をもっと強化しなければならないな」
 ジャンレットが言い、ライアルードがうなずいた。第二・第三の聖母候補の召喚についての調査もあまり進展がない。

「部屋を(のぞ)いてきたけど、あの人がやるようには見えなかったなー」
 のんきな口調でリーンウィックが言う。

 彼は覗いたときに見聞きしたことを報告した。三千花が泣きながら晴湖に語っていたことを。

 アルウィードがリーンウィックを睨む。
「いい趣味してるな」
「役に立ったと思ってるけど」
 リーンウィックは興味なさそうに返した。

「聖母というのは存外に厄介だな」
 ジャンレットは大義そうに息をついた。

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